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【POINT】
21世紀は9・11テロが象徴するように全てが不安定な時代環境下にあります。金融危機・経済危機がグローバル化し、また企業不祥事の続発などで、政治的・経済的・社会的な無数のリスクに囲まれ、安穏とした生活を楽しむことができない世の中に暮らしています。こんな時代に経営者はどのような心構えを持てばよいのでしょうか。 リスクマネジメントの要諦は以下の5つのポイントに絞られます。
①リスク社会の認識を持つ ②我々は被害者にもなるし、加害者にもなり得る ③備えあれば憂いなし ④リスク対策の4つのプロセス ⑤リスク対策は自己責任である
【プロフイール】
前田 毅(マエダ ツヨシ)
前田21世紀経営研究所 代表。某重工業メーカーにて輸出・海外事業を中心に実務経験。現在は、経営コンサルタントとして、リスクマネジメント、CSR、コンプライアンスの指導・啓蒙を中心に活躍中。中小企業診断士、シニア・リスク・コンルタント、JETRO貿易アドバイザーなど幅広い資格を有す。
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【内容】
1.リスク社会”の認識を持つ
“我々は無数のリスクに取り囲まれて生活している”。経営者として最も必要なことはこの認識を持つことです。好むと好まざるとに拘わらずリスクが我々を取り囲み、何かのきっかけで事件や事故となって我々を襲い、財産や生命の損傷をもたらす危険性に満ち満ちているのが今の世の中です。“想定外の出来事でした”という言い訳はもはや通用しません。それで無罪放免とは決してならないのが現代社会です。社会の状況変化や身の回りの一寸した事にも細心の注意を払ってください。
2.我々は、被害者にもなるし、加害者にもなり得る
人は往々にして自分が被害者になるケースだけを想定してしまいがちです。“自分を守り、家族を守り、会社を守り、社会を守る”。我々はこれらを実現する義務を負っています。しかし一方で、自分が、自社が、事件や事故を起こして他者に被害を生じさせ得ることをどこまで認識しているでしょうか。被害を被ることがないように万全の備えを講じることは重要ですが、反対に、自らが引き金となって他者に被害を与えるリスクをも同時に考え、対策を講じる努力も必要なのです。加害者になってしまい、被害者の救済や補償などで自分の生活が破壊されてしまった例は数知れません。複雑化した現代社会では、被害者と加害者は隣同士の存在であり、いつも社会的ネットワークで繋がっているのです。自分を見つめる眼と冷静に客観的に周囲を見渡す知恵が必要です。
3.備えあれば憂いなし
“人生を全うする、家族の幸せを実現する、会社を健全に継続させる”。そのためには、先ずは自分の周りに、場合によっては自分の内部に潜在しているリスクの要因をしっかりと把握しておくことが重要です。その上で、出来ることから手を打っていく。全てのリスクに同時に対応することは実際問題として不可能ですから、最優先すべきリスク対策に専念することが重要です。そこから連鎖するリスクを次々に潰していくのが現実的な対処方法です。
4.リスク対策の4 つのプロセス
リスクマネジメントには基本的な仕組みがあります。①リスクの発見・洗い出し、②リスクの分析・評価、③リスク処理対策の立案・選択と実行、④結果の検証、の4つのプロセスから成り立ちます。この仕組みを追ってうまく適用し対策を進めればよいのです。
①リスクの発見・洗い出し → ②リスクの分析・評価 →
③リスク処理対策の立案・選択と実行 → ④結果の検証 |
①リスクの発見・洗い出し
先ず自分や自社を取り巻くどんなリスクがあるのかを明確にします。何が問題なのかが分からなければ適切な対策は立てられません。リスク要因、例えば、個人の健康問題や財産相続、会社の経営課題、資金繰り、後継者の育成、等々です。洗い出せば数百項目も挙げられるでしょう。
②リスクの分析・評価
列挙されたリスクがどれくらいの頻度で起こりそうかを想定します。例えば、月に一回なのか十年に一回程度なのか。リスクがもし顕在化したらどんな被害が出るか、一寸した怪我ですむのか命にかかわる重大事なのかといった被害の大きさを想定し、頻度との関係を勘案して対策の優先順位をつけます。当然、しょっちゅう起こりそうで被害が大きいと考えられるものが第一順位になります。優先順位の高いリスク要因から順にそれぞれの対策を考えます。
③リスク処理対策の立案・選択と実行
対策には、弱い点を補強し被害を軽くする(軽減)、危険な仕事や範囲を分割して被害を小さくする(低減)、危ないことは避ける(回避)、保険に入る(転化)、などがあります。うんと小さいリスクは特に対策は立てず保有し注意を払います。どの対策が有効でコスト的にも実施可能かを考えて決定します。ここで大事なことは、リスク対策には限界があって100%なくすことはできないということを知っておくことです。それぞれの対策の限界を知り、残存リスクをどうするかも認識しておくことが大事なのです。
④結果の検証
一定期間後(例えば1年後)に、その間のリスクの発生件数・被害状況などを調査し、それぞれの対策がどの程度有効であったかを検証します。不幸にして被害が発生した場合は、なぜ防止できなかったか、また、対策を打ったことで最小化できたか、などを客観的に分析・評価することが重要です。何も起こっていなければ、対策が有効であったからなのか、たまたま起こらなかっただけなのかを考えます。結果の反省を次のリスクマネジメントに反映させます。何もなかったからこれでよしとリスクマネジメントを放棄するのは最も危険です。その翌日にリスクが顕在するかもしれません。
5.リスク対策はあなたの自己責任です
事が起こってから嘆いたり文句を言っても始まりません。失ったり傷ついたりしたものは元に戻りません。自己責任で最大の努力を傾け自分を、家族を、会社を守る心構えが肝心です。リスクマネジャーはあなた自身です。
6.専門家に相談を
一人で問題を抱え込まないで専門家に相談しモレやヌケがないようにしましょう。自分なりに4つのプロセスを実施して対策を考え、専門家のチェックを受ければあなたのリスク対策は万全になるでしょう。
リスクマネジメントは単に防御のためだけではなく、成長発展のための最大の攻撃ツールです。自らの組織が持っている弱みを正確に認識し、それをカバーして不意の事態が起こらないように備える組織能力は、今後も続く不確実性の時代を逞しく生き抜く最高の武器であり、最強の経営の知恵です。適切に活用して企業の将来に備えてください
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