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【POINT】
今や、非正規社員は雇用者全体の3分の1、また非正規社員の3分の2をパート・アルバイトが占め、我が国経済活動の重要な役割を担うようになっています。中小企業の経営者には、自らの経営の強化に加え社会的役割の遂行といった面からも、雇用したパート・アルバイトがその力を発揮できるような職場環境づくりに努めることが望まれます。そのためには、経営者は昨年改正された「パートタイム労働法」の趣旨を踏まえるとともに、パート・アルバイトの一人ひとりに思いやりの心を持って接し、仕事のやりがいを持たせていくことが何よりも肝要となります。
【プロフイール】
下里 正人(シモサト マサト)
下里経営研究所 代表 某石油会社にて経理・人事・販売・経営企画・工場管理の実務経験後、系列会社役員として会社経営の任にあたる。現在は、経営コンサルタントとして、経営戦略・経営企画の策定支援、キャリアコンサルティングを中心に活躍中。中小企業診断士、一級販売士、経営品質セルフアセッサーなど幅広い資格を有す。 |
【内容】
1.非正規社員増加の現状と問題点
19 0年代後半より、多くの産業でパート・アルバイトを中心とする非正規社員の活用が積極的に進められるようになり、その人数、及び比率が年々増加してきています。平成19
年度の総務省労働力調査によれば、パート・アルバイトは1,164 万人それに派遣社員・契約社員等を加えた非正規社員全体では1,732 万人、雇用者全体の33
.5%に達し、我が国の経済活動の重要な役割を担っています。 こうした非正規社員の増加には“雇用形態の多様性を活かす”という意味合いにおいて、雇う側・雇われる側双方にとっての本来的な意義があると考えられますが、現実的には、長期不況下の厳しい経営環境に対応して労務コスト削減を図る経営側の意図が大きく影響してきたのは否めないところです。その結果、多くの非正規社員が賃金や待遇への不満、将来への不安等を抱えているという側面をしっかり見定めることが大切です。
ここでは、非正規社員の3分の2強を占めるパート・アルバイトがその持てる力をさらに発揮していくために、中小企業の経営者としてどういう姿勢で取り組めばよいかといったことについて、昨年施行された改正パートタイム労働法の概要にもふれながら、考えてみましょう。
2.改正パートタイム労働法の概要
平成20年4月1日から施行された改正パートタイム労働法により、パートタイム労働者を雇う側に以下のようなことが義務付けられました。
①雇い入れの際、労働条件を文書等で明示する。また、雇い入れ後、求められた場合は、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明する。
②「通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者」については、すべての待遇において差別的な取扱いを行ってはならない。
③通常の労働者と同じ職務内容のパートタイム労働者には、その職務の遂行に必要な能力を付与する教育訓練を、同じように実施する。
④福利厚生施設を利用する機会をパートタイム労働者にも与える。
⑤通常の労働者へ転換するチャンスを整える。
より具体的な内容についての説明は省きますが、法の趣旨は、パートタイム労働者の働く意欲をそぐような問題を解消し、その能力を十分に発揮できるような雇用環境を整備するとともに、その働きや貢献に応じた「公平な待遇の実現」を目指す点にあります。
3.中小企業経営者としての基本姿勢
⑴ “法を守る”のは当然の前提
今回の改正法に限らず、法に決められた義務や禁止事項等を守らなければならないのは言うまでもありません。しかし、経営者として特に心しなければならないのは、「法に決められているから○○を行っていく」「法を守ってさえいればよい」という対処レベルの姿勢で対応してはいけないということです。法令の遵守は当然の前提であって、何よりも大切なのは、時代背景を踏まえ、法律の底に流れる基本的な考え方を汲み取って、『人の問題』に取り組んでいかなければならないということです。
⑵ 一人ひとりにやりがいを与え、能力を発揮させる。
新しい職場で働く人にとって、職に就いた事情の如何に拘わらず、毎日の仕事は楽しく働きがいのあるものでなければなりません。
そのためにまず大切なのは受け入れる職場の風土です。人間関係がよく、組織や身分を超えて心と心の話し合いができる温かな職場でなければなりません。この温かさとは単なる甘さではありません。規律面などの厳しさも同時に求められます。人は、そういう職場に入って初めてやる気になるといえます。また、やる気のある人・頑張る人が報われる職場でなければなりません。よいアイデアは積極的に採用する。力のある人には責任のある仕事を与え、処遇面でも配慮する。能力ある人には正社員への道を用意する等々の施策も重要といえます。
⑶ 何よりも思いやりの心で接する。
パート社員やアルバイトは、生活環境との関わりから時間に縛られない働き方を進んで選択した人や、やむなくこの道を選ばざるを得なかった人など、その働く事情や意識、あるいはそれぞれが持つ不満や不安も、賃金、休暇、仕事のきつさ、正社員への道の有無、雇用の不安定など様々であると考えられます。要は、一人ひとりの事情を知り、その気持を受け止めた対応が必要なのであり、強いては、その人の将来をも含めた生活設計の中における今の仕事の位置づけまでを思いやるという心を持って接することが重要な意味を持ってきます。 自分に対する経営者の思いやりの気持ちを感じ取ることで、働く人は意欲とやりがいを持って仕事に取り組むようになり、それが結果として会社の業績向上にもつながってくるものといえます。
パート社員・アルバイトにとって、今の職場が一生の勤務先になると否とを問わず、本人の生涯にあって意義深い職場生活であると自覚できるような仕事の場に是非してあげたいものです。
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